高根様
受験結果
- 高根希世子さん(娘)日本大学医学部合格
対談相手
- 高根佳予子氏 (お母様)
専門:外科学、癌エビゲノム 所属:日本外科学会、日本癌学会
二人のお子様は共に医学部に進学。ご主人は「たかねクリニック」院長 高根希世子さん(娘)日本大学医学部卒。日本大学大学院を経て、現在、千葉大学医学部特任助教。
※「 Doctors Jounal VOL.19 2016 summer より抜粋 」より抜粋。掲載内容は取材当時の内容です。
医学部合格をご希望の方はお問い合わせください。
相談のみでも大丈夫です。説明会・体験授業も実施していますので、ご希望の日時をお知らせください。
ぶれずに子どもを信じ、どのような結果であっても前向きに受け止めようと思っていました。
わが子が難関の医学部合格を目指すときに大きな支えとなるのが家族だ。その中でも母親が担う役割は特に大きい。長年医学部受験に携わってきた池袋理数セミナーの藤田代表は「最初の親子面談では、必ず母親だけとの個別面談を行い、色々なお話を伺います。子どものことを一番に分かっているのは本人以上に母親だからです。医学部合格は、本人と家族、とりわけ母親とい我々受験指導者の3者が一体にならないと勝ち取れないと思っています。」と語る。 本シリーズでは、母親の目線からわが子の医学部受験そして合格までの道のりを振り返ってもらう。娘は一生懸命の努力が空回りしてしまうタイプでした。
藤田
本日は私共の卒業生で、日本大学医学部に現役合格し、その後、日本大学医学部大学院に進み、現在は千葉大学の特任助教をしている高根希世子さんのお母さん、高根佳予子さんからお話を伺います。お忙しいところをありがとうございます。お母さんから見て、希世子さんはどんなお子さんでしたか。
高根氏
娘は幼稚園の頃から、一つのことに集中すると。我を忘れて夢中になってしまう、そんな子でした。自分の体のことも考えずに時には無理してしまうこともあり。もう少し手を抜いたらと心配で注意することもありました。
藤田
まさにその通りで受験勉強中も相当な頑張り屋さんでした。常に全力投球で、手を抜くということを知らない生徒さんでした。
高根氏
一生延命なのは良いのですが、頑張っているのになかなか成果が上がらないというタイプだったと思います。幼いころから、物事を要領よくこなしていく性格ではなかったですね。
藤田
そうですね。努力が空回りしてしまうタイプですね。でも負けん気は人一倍強い生徒さんでした。それでも受験勉強の中で、自分自身の課題に気付き、それに挑戦し、最終的には克服していったような気がします。だから現役合格できたとも言えるでしょう。
高根氏
自分を知るという意味でも、受験はいい経験だったと思います。本人は、自分の受験勉強を振り返り、ロッククライミングのように一つ一つの岩場を必死で登ったようだったと言っていました。
医学部志望は父親の影響でした。
藤田
お子さんを医師にしたいという願望はあったのですか。
高根氏
それは無かったですね。主人は、女の子だからお医者さんがいいのかなとは言っていましたが、親の願望というほどのものではありませんでした。 でも、小さい頃から医師としての父親の背中を見ていましたし、日頃の食卓でも父親からの話を聴いているような環境でしたので、娘の中に自然と医師への進路ができていったのではないかと思います。子供たちが医師を目指したのは、主人の影響が大きかったと思います。子どもたちが幼いころの主人は外科医として病院に勤務していました。 患者さんの中には有名な芸能人の方もいたりして、多くの患者さんから信頼されていました。子どもたちは、父親からそんな話を聞いて育ちましたので、幼いころから医師として多くの人のために働いている父親を尊敬していました。 子供たちが医学部を目指すようになったのは、そんな家庭環境で育ったことの影響が大きいと思います。
娘の話を聞くように心掛けていました。
藤田
高根さんのご家庭は、きっと親子の会話が多い家庭だったのでしょうね。お父さんのことは、本人が私に話してくれたこともありました。 それにしてもお母さんは、池袋理数セミナーで今どんな勉強をしているのかとか、娘さんのことを完璧に把握されていましたね。 ああ、この子はお母さんと良い母娘関係にあるのだなと感じていました。
高根氏
確かに娘から色々な話を聞いていました。当時娘は毎日こちらで夜遅くまで勉強してから帰宅するので、駅まで迎えに行っていました。その帰り道に二人で歩きながら、今日こんなことがあったとか勉強の進捗のこととか、色々な話を聞きました。 おそらく、娘にとってはそれがストレス発散になっていたのだと思います。ですからそんな時はわずかな時間であっても、私は徹底して聞き役になっていました。
時には娘の甘えに合わせました。
藤田
当たり前のことですが、日常の中で些細な時間であっても、親が子供の話をしっかりと聞いてあげることはとても大切だと思います。 時には、愚痴や文句もあるでしょう。でもきちんと聞いてあげることが大切です。 特に年頃の受験生は多感ですから、親に意見をしたり、時には感情的になってぶつかり合うこともあるでしょう。そのうち親も面倒になり、子どもとの会話をしなくなってしまったという親子もいます。そんな家庭も多いと聞いています。 逆に、受験勉強で神経質になっている子どもに気を使いすぎて、腫れ物に触るように物を言わないという親もいます。 しかし、特に受験生にとって家庭内のコミュニケーションや非常に大切なのです。 10代の子供たちにとって医学部受験は、これまでの人生で最初に経験する最大の挑戦と言えます。精神的にはとても不安定な状態で、ストレスも相当なものです。 ですから家庭との会話や親子の良好なコミュニケーションは受験生にとって大きな支えとなります。今まで多くの受験生を見てきましたが、家族の支えがある生徒は合格する率も高いと感じます。
高根氏
女の子は、同年代の男の子に比べると、精神的に大人ですから、自分にとって都合が良ければ母親もうまく活用しようというような、良い意味で母親を上手に利用する術を知っているように思います。 成長した女の子だと、しっかり計算して甘えてくることがありますね。受験生の娘を持っているお母さんからも、よくそのような話を聞きました。 ですからそれを理解したうえで、時には娘の甘えに上手に合わせて、娘に母親を利用させてあげるのも、一生懸命頑張っている本人の助けになるのであれば良いのかなと思いました。勿論、お互いの日常の良好な関係がないと難しいかもしれませんが。 受験するのはあくまでも本人ですから、母親の役割とは、悩みを抱えている子供に寄り添い、一番の理解者であり、支援者であることだと思っていました。
成績が上がってくると不安も増長してきます。
高根氏
娘は高校2年から理数セミナーさんにお世話になっていました。3年生になってから、自分の勉強が遅れているのではないかという気持ちに苛まされ、焦っていた時期がありました。
藤田
受験勉強では、実は勉強ができるようになってくると、かえって不安が増長してくる時期があります。どこまでやっても永遠に終わりがないのではないか。という想いになるのです。成績が上がってくることで、自分の実力や課題もわかってきますし、勉強仲間との交わりの中でより広い世界が見えてくるからです。実際に勉強ができる人ほど受験の怖さを知っています。ですから、現役生よりも浪人生の方がそのことを知っています。むしろ不安があるのは成長している証と思っています。
高根氏
娘が通っていた私立の中高一貫女子高は、推薦で系列の大学や有名私大に進む人が多いのですが、医学部を目指す人は少数で娘はその中の一人でした。ですからこちらの予備校で、同じ受験生の現役生だけでなく、浪人生の方とも一緒に学べたことは、すごく刺激になっていたようです。
藤田
彼女を見ていて、在籍した2年間で人間的に大きな成長を遂げたと思います。同期の生徒たちからの信頼も厚かったですね。とても熱心な努力家でした。特に印象に残っているのは、受験の追い込み期に、まだ誰もいない朝6時30分からここで勉強したいと言ってきたことです。さすがに私もその時間には出勤はできませんから、教室のカギを貸しました。朝一番で教室の鍵を開け、1時間勉強してから登校し、下校後そのままここに来て夜遅くまで学習し、帰宅する。朝も夜も講師に臆することなく質問攻めにする。そんな頑張り屋でしたね。
食事は大切です。
高根氏
結婚前に私は取材をする側の仕事をしていまして、特に子どもの育て方や食育について1年間ほど取材をしていた時期がありました。 その時に、子育てにとって食事の果たす役割の大きさを知りました。ですから結婚したら自分のできる限りの力を注いでいこうと思っていました。その中で一番大切に考えていたのが、毎日の食事でした。 決して豪華で贅沢な食事ということではなく、安心できる自然の食材を選ぶとか、毎回バランスの取れた食事をきちんとつくるとか、そのような基本的なことです。 たとえば生まれた初めて子供が口にする食べ物は、昆布からとった薄味のお出しで作るとか、そんなこだわりが私にはありました。 特に子どもの受験勉強中は、なるべく種類の多いおかずがバランスよく入ったお弁当を毎日作って持たせました。 たまたま高校で食育の授業があった時に、色々な食材を食べて育った子どもは脳の働きが違うという講義があったそうです。その時にクラス全員が一斉に娘を見て、「希世子ちゃんのお弁当はいつもたくさんのおかずが入っていて、希世子ちゃんのお母さんはすごいね。」と言われたそうです。それを聞いたときには本当に嬉しかったですね。
藤田
そんなことがあったんですね。毎日の事ですからお母さんも大変だったと思いますが、愛情がないとできませんね。 受験指導の側の私たちから見ても、受験生にとって食事はとても大切だと思います。受験生を見ていて、母親が食事に気を配っている家庭はいい家庭環境であることが多いです。
高根氏
母親ができることと言ったらそのようなことではないでしょうか。
医学部に入ってからの勉強も大変だった。

高根氏
医学部に入ってからの勉強も大変だったようです。特に進級の時には本人は悩んでいたようでした。 要領よくできない性格なので、全てに対してまじめに取り組みすぎてしまい、精神的にもかなり追い詰められた時期がありました。どこかでぼきっと折れてしまうのではないかととても心配でした。
藤田
そうでしたね。当時私のところにも相談に来ました。女性に多い傾向として、生真面目で手を抜けず、思い悩んでしまう学生も多いと聞きます。彼女は特にそうでした。どうやって手を抜いたらいいのか分からないのです。 医学部の勉強法というのがあります。それが十分に分かっていなかった時期でもあって悩んでいたように思います。とにかくがむしゃらに暗記していたようでしたから、理解することを中心に、教科書をしっかりと読むようにと指導しました。 私が受験勉強時代に指導していたことと同じで、暗記ではなく、正確に理解して自分の頭に入るようにまとめ、そして頭に納める。という勉強法です。
高根氏
確かに、医学部受験を乗り越えてきた人でないと、医学部を1年ごとに進級していくことが難しいと思いました。受験も大変ですが、入ってからも大変だということを娘の姿を見て痛感しました。
藤田
とにかく医学部に入ればいいという事ではないのです。医学部6年間の勉強に耐えられる力がないとその先はありません。最近は授業についていけない成績不良者の放校処分も増えています。 意外にも、医学部の授業についていくのに苦しんでいるのは、付属校からの推薦で医学部に入ってきた人に多いそうです。 それと、これも意外ですが、理系頭の人よりも文系頭の人の方が、医学部に多く合格しています。生徒の親御さんとお話していても、理系は好きだったが、得意分野は文系だったと話すドクターの父親が圧倒的に多いです。論理的思考だけでなく言語力・表現力・暗記力も求められるからだと思います。
高根氏
そうですか。確かに娘もどちらかというと文系が得意の方でしたね。
苦労したという思いはあまりありません。
藤田
娘さんの受験で、最も苦労したことは何ですか。
高根氏
実はあまり苦労をしたとは思っていません。子どものために行う行為は、見返りを求めない愛情でもありますから、どんなことも苦労とは感じませんでした。でも、敢えて上げるとしたら、受験期間中は眠たかったですね(笑)。 夜中の12時半くらいに帰ってくる娘を、駅まで迎えに行くのが2年間くらい続きました。そのうえ、朝の5時くらいには下の息子がクラブ活動で家を出ます。 朝ごはんと子供たちにお昼のお弁当を持たせるために、朝の4時には起床しなければなりませんでした。 ですから、1時くらいに寝て4時には起きるという生活が2年近く続きましたので、その間はゆっくりと睡眠を取ることができませんでした。一番の苦労と言えばそれでしょうか。
どのような結果であっても前向きに受け止めようと思っていました。
高根氏
一人の人間として見たら、娘の人生はあくまでも娘本人のものです。ですから、私が遺書になって過剰に一喜一憂してしまうことは、決して本人のためにならないと思っていました。
藤田
親が必要以上に心配しない。あくまでも子どもを信じるということですね。確かに一生懸命頑張ったのだから、あとはなるようになる、というくらいの気持ちの方が大切でしょうね。 親が過干渉でいろいろと口出ししてしまうという姿も、受験生の過程では多く見受けられますが、本人のためにはなっていないことが多いです。
高根氏
私も、時には口を出していたかもしれません。それでも、その中に入り込まないで、いつも一歩引いて自分を俯瞰するようなスタンスでいるように心掛けていました。 受験生の親としては、子どもに合格してほしいと願うのは当然のことです。それでも残念ながら合格できずに浪人したとしても、また別な素晴らしい人生が待っているのではないかと、そう思っていました。
藤田
そんなふうに思われていたのですか。すごい腹の据わり方ですね(笑)
高根氏
もちろん私も、これまでの頑張ってきた姿を知っていますから、現役で志望校に合格してほしいとは願っていました。 でも人生においては、何が契機となりその後の人生が開けるかは誰も分かりません。 たとえ残念ながら今回合格できなかったとしても、この子にはそういう人生が用意されていたわけで、悲観したりすることではないと思うようにしていました。 親ですから、自分よりも子供のことの方が心配でハラハラしますが、それでもやっぱり、その人その人に持って生まれてきた人生があるわけで、子どもの人生は親といえどもどうにもできるものではないと思っているわけです。でも突き放しているわけでは決してありません。必要な支援はしつつも、無駄な騒ぎ立てをせず、子どもの人生を静かに見守っていこうという思いです。
藤田
ブレずに腰を据えてじっと見守っていたという感じですね。
高根氏
そうはいっても、実際には合格発表を見るまでは焦りました。合格発表も最初のころは不合格が何校か続いてしまいました。泣いている娘に、今はあなたの時期が悪いだけよ。2月に入って雨が降ったら、流れが変わり運気が良くなりきっといいことが起きるわよ。と言ってあげました。実際にそうなったので良かったですが(笑)。
藤田
ぶれずに子どもを信じるということは、特に受験においては難しいことだと思います。最近は、子どもの受験に手を出す、口を出す親が多い。朝の学校の準備を親がしているという話も聞きます。 確かに、少子化にもかかわらず医学部受験だけは競争率も難易度もずば抜けて高くなっていますから、本人だけでなく親も必死なのは理解できます。 ですから、親の関心が医学部合格という一点だけに向いてしまいがちになり、そこから自分の目線で子どもを評価し、自分の価値観を押し付けがちになってしまうことも多い。 それを親の務めだと思っている方も多い。しかし、良かれと思ってしていることが、決して子どものためになっていないことも沢山あるのです。 受験は親子の共同戦線ですが、親に求められる役割とは、子どもを信じて見守る。常に良き理解者であり、良きサポーターではないでしょうか。 本日はありがとうございました。
医学部合格をご希望の方はお問い合わせください。
相談のみでも大丈夫です。説明会・体験授業も実施していますので、ご希望の日時をお知らせください。
他の保護者インタビュー
池袋理数セミナーで志望大学医学部に合格したご家庭の保護者インタビューをご覧ください。